生まれてすぐの赤ちゃんに多い「新生児 過性多呼吸」を聞いたことがありますか?

このブログを見ている方の中には、お子さんがそうだと診断され心配している方もいらっしゃるかもしれません。

どんな病気なのか、治療法はあるのか、後遺症はあるのかなど、新生児 過性多呼吸について解説しますね。

<新生児 過性多呼吸とは>

出生後に肺の中にある肺液を上手く外に排出することが出来ず、一時的な呼吸困難が起こり、血中の酸素濃度が低くなってしまう病気です。

胎児の間はお母さんのおなかの中で、羊水で満たされた子宮内にいるため、肺の中は肺液でいっぱいになっているのです。

そして、生まれた直後から肺呼呼吸が行われるため、肺液は肺から排出されなければいけません。

通常、産道を通るときに、肺が圧迫され肺液は肺から押し出されます。

更に、細胞により肺液の吸収が行われ、産声を上げるとともに肺が空気で満たされるのです。

しかし、肺液が残ったまま呼吸すると、胸がへこむ陥没呼吸や唇や皮膚が紫になるチアノーゼになる危険があります。

チアノーゼになると多呼吸や頻呼吸が長時間続き、呼吸するとき呻くような音が聞こえるなどの症状が現れます。

新生児 過性多呼吸は、帝王切開や早産で生まれた赤ちゃんに割合的に多く見られると言われています。

帝王切開では、産道を通らないため十分な量の肺液を排出できず、早産の場合、肺液を排出したり吸収しきらない状態での出生となることが原因と考えられています。

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<治療法について>

症状は、生後6時間以内に現れるため、出生直後の多呼吸の症状と、胸部X線検査の結果で診断されます。

過性多呼吸と診断されると、血中酸素濃度を安定させるために鼻からチューブを入れ酸素を投与し呼吸を助けていきます。

多くの場合、療開始後12~24時間の間に投与される酸素量は徐々に減少していきます。

これだけで呼吸状態は改善されますが、稀になかなか改善されず人工呼吸器を使って治療したり、サーファクタントという肺を広げる物質を投与するなど、より強力な呼吸のサポートを要するケースもあります。

呼吸困難がみられる新生児は、母乳を上手に飲むことが出来ない事もあるため、その場合、輸液や栄養剤を静脈を通して投与し経過をみます。

また、過性多呼吸と感染症を区別することはとても困難なため、抗生物質が処方されることもありますが、検査で感染の兆候が見られない場合は、抗生物質の投与は停止されます。

<呼吸困難による後遺症>

新生児 過性多呼吸は、呼吸疾患の中でも軽く、大抵の場合1~3日(1週間続くことも稀にある)で改善することが多いため、予後はとても良好で、後遺症を残すことは殆どありません。

ただし、重症な過性多呼吸の場合や発見が遅れる等、低酸素状態が続いてしまった場合は、低酸素状態が続き、脳が虚血状態になり、脳が損傷することもあるため、後遺症が残るリスクが高まります。

また、稀に『気胸』と呼ばれる、肺に穴が開き空気が漏れる疾患が合併症として発症する可能性もあるため、毛日観察をする必要があります。

ただし、この病気自体は基本的には一時的なので、通常の経過で良くなったものに関しては、過剰な心配は必要無いでしょう。

相当重症だった場合に、低酸素の影響をMRI検査やその後の成長発達のフォローを通常よりも注意していく必要があると思います。

<退院後、自宅での看病は>

新生児 過性多呼吸は、短期間の酸素投与治療で回復するため、NICUで数日間過ごしていたとしても、通常の経過で回復し、医師が退院の許可を出したのであれば、治癒していると考えて大丈夫でしょう。

自宅に帰ってからも特に看護の必要はなく、通常通りの育児で構いません。

過性の多呼吸で後遺症がなかったとしても、我が子がNICUに入ってしまうのは、親として辛いものです。

我が子が過性多呼吸にならないために、妊娠中は以下のことを最低限守ることが大切になってきます。

・妊娠健診を欠かさず受ける

・喫煙、アルコールの摂取はしない

・病気などの予防のために手洗いうがいやマスクの着用を徹底する

・医師に処方されていない薬を服用しない

・疲れやストレスを溜め込まない

母体と胎児のあらゆる病気やトラブルの予防として、普段から上記のことを意識して生活し、早産や帝王切開での出産の可能性をできるだけ減らし、新生児 過性多呼吸を予防しましょう。